学生/求職者の心に響く、SNSデータを駆使した採用マーケティング術

2023/6/20 Tue. ライター : Rina Amagaya
  • 採用マーケティング
  • SNSデータ
  • 採用広報

近年、オンライン採用のスタンダード化と働き方の多様化により、就職活動の環境は大きく変化しています。今、求職者はどのような価値観を持って就職活動に取り組んでいるのでしょうか。また、採用マーケティングにおいて、求職者向けのコミュニケーションをどのように進めれば良いのでしょうか。この記事では、昨今の採用市場の変遷や求職者に共感される採用マーケティング・採用広報のHow toについて紹介します。また、採用広報戦略に効果的なSNSデータを用いたソーシャルリスニングについても詳しく説明しますので、ぜひ最後までお読みください。

昨今の採用市場の変遷


就職活動における学生/求職者の価値観の変化

近年の採用市場では、学生や求職者の価値観が変化し、ますます多様化しています。特にZ世代の特徴として、個人の成長や働く環境を重視する傾向があり、優秀な学生や向上心の高い若手求職者たちは、自身のスキルや才能を最大限に活かせる環境に魅力を感じやすいとも言われています。また、企業がSDGs・ダイバーシティへの取り組みや社会貢献活動に注力しているか、など社会的貢献や企業のカルチャーに対する関心も高まっています。

これに伴い、求職者が企業の採用広報に求める情報が変化している為、戦略的にターゲット人材にアプローチを行うためには、常にそのターゲットがどのような情報に興味・共感を持っているか、を企業側は把握する必要があります。

コロナ禍によって定着した「オンライン就活」のリアル

 

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2020年以降、オンライン採用が主流になり、企業の採用活動でもデジタルマーケティングを取り入れ、SNSやWebメディアを活用した情報発信がスタンダードになりました。例えば、FASTGROWやONE CAREERなどの外部メディアに採用予算を使って情報発信することがここ2、3年で増えてきております。また、従来ナビサイトの説明会や掲載費に充てていた予算を、TwitterやFacebookなど学生が日頃から情報収集しているSNS上での発信にシフトし、オンライン上での採用広報に注力する企業も増えてきました。

一方の求職者は、様々な場所で情報に接触できるようになりました。オンライン上に企業の採用や働き方にまつわる露出が増えたことで、就活生がSNS上で企業との接点を持つ機会が増加していることは明らかです。実際に、多くの就活生や求職者がSNSを就活・転職の情報源にして企業研究を行っています。

以上の背景を踏まえ、複雑化が進む採用市場において、競争優位性を確立し、求めるターゲット人材の採用を強化する為には、候補者の状態に合わせて適切な情報発信を行う、マーケティングの視点を取り入れた採用活動が不可欠だと考えています。

求職者視点の" 採用マーケティング "具体的なステップを解説!


採用担当者の多くが、オンライン上でどのように自社の魅力を発信していくかについて悩んでいます。この章では、採用マーケティングに役立つコンテンツの作成方法を具体的に紹介していきます。前提として、求職者が使う媒体や求めるコンテンツは、就職・転職活動のフェーズによって異なります。つまり、オンライン上で潜在ターゲット層に興味醸成し、エントリー〜入社までグリップする為には、候補者のジャーニー(※)に合わせた媒体と訴求内容の選定が重要です。特に今出会えていない層へのアプローチ(≒母集団形成)に課題を感じている担当者にとっては、これらの戦略設計が課題解決のカギとなるでしょう。

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(※)候補者のジャーニー:採用活動において学生/求職者が企業を認知し始めてから、入社に至るまでのプロセスのこと

【STEP1】求職者のインサイトを知ろう


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求職者のインサイトを探るためには、ソーシャルリスニング(※)がおすすめです。現在Web上で公開されている記事やSNS上で反響がある投稿などをデータ分析して解析することで、求めるターゲット人材に共感される訴求軸や作成すべきコンテンツを読み解くことができます。

また、ソーシャルリスニングには、「アンケート調査よりもユーザーの本音を探りやすい」という特徴があります。求職者の声を収集する際にアンケートを用いるケースも多いですが、アンケートでは決められた設問に対する回答しか得られません。一方のソーシャルリスニングでは、求職者が自身のSNSアカウント上で自由に発信している「リアルな声」を集めることができるため、潜在的なニーズを把握しやすいのです。

(※)ソーシャルリスニング:TwitterやFacebookなどのソーシャルメディア上で消費者が発信している情報を収集し、分析することによって、自社製品に対する評判を知リ、今後のマーケティング戦略に活かすこと

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当社が保有するSNSデータ分析ツール「THINK for HR」を用いて抽出したデータをもとに、実際にソーシャルリスニングではどのようなインサイトを把握できるのか事例を3つ紹介します。

――インサイト事例①:男性育休をとった人の「リアル」への注目

2022年4月から施行された育児・介護休業法により、男性育休制度が注目を浴びています。実際にその制度を利用した男性社員の経験をもとにした体験談や、Twitter上での当事者の発信など、リアルな声を反映した記事や投稿が多くの共感を獲得しています。経験者のストーリーを中心に制度を紹介することで、求職者の興味を引くことができ、関心を高める可能性が示唆されます。

――インサイト事例②:望まぬ異動や転勤はしたくない

従業員が希望しない部署異動や転勤は、退職リスクを高めることを示す記事や投稿が大きな共感を集めていました。例えば、某大手通信会社が転勤や単身赴任を廃止したような、現代の価値観やトレンドに合った制度改革を発信することで、企業のイメージが変わり、採用ブランディングにもプラスの影響を与える可能性が示唆されます。こうした取り組みを通じて、企業は社外へのアピールだけでなく、社員の離職率も低下させることが期待できます。

――インサイト事例③:ファーストキャリアは土台の整った大企業で

新卒で大手企業に入社することのメリットを発信している個人のTwitter上の投稿に、多くの共感が集まっていました。ベンチャーやスタートアップ企業にはない大手企業の成長環境を、福利厚生や教育制度などの要素を通じて伝えることが、成長意欲の高い求職者の関心を引きつける可能性があることを示唆する事例です。

以上、働き方/キャリア関連の共感文脈の一部をご紹介しました。しかしながら、これらのデータはあくまで一部に過ぎません。THINK for HRを活用すれば、以下の領域に関するデータを調査・分析することができます。

・自社/競合/ベンチマーク企業の訴求内容・求職者からのイメージ比較 分析

・働き方/採用/キャリア関連の最新インサイト・トレンド 分析

・求めるターゲット層の共感ポイント/留意点 分析

・自社と親和性の高い採用/キャリア関連メディア 分析

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【STEP2】インサイトを捉えたコンテンツの制作 〜「人×メッセージ×媒体」の活用〜

実際に収集したデータ(インサイト)を採用広報コンテンツにどのように活用するか、具体的な手法を以下で紹介します。

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まずは客観的なデータ分析を通じて、自社が伝えたい方向性とメッセージを明確にします。その後、社内の誰が情報を発信するかを決定し、ターゲット層に効果的に情報を届けるための最適な媒体を選定します。THINK for HRを活用することで、特定の文脈において誰が情報を発信すればより共感を呼びやすいかや、ターゲット層と親和性の高いWebメディアやプラットフォームを把握することができます。

さらに、単一の媒体に偏らず、採用サイト、オウンドメディア、外部メディア、SNSなど、多様な発信手段を活用することで、様々なターゲット層と有効な接点を作り出し、情報を届けることができます。

この「人×メッセージ×媒体」のフレームワークを活用しながら戦略的な採用広報を実践することで、幅広いターゲット層に情報を届けながら共感を得るコミュニケーションを築き上げ、質の高い母集団形成を実現できます。そして、定期的にデータ分析やコンテンツの振り返りを行うことで、持続的な採用マーケティングを実践することができます。

まとめ


ここまで求職者に共感される採用マーケティング・採用広報のHow toについて紹介してきましたが、ご理解いただけましたでしょうか。簡単にポイントをおさらいします。

ポイント①:候補者の状態に合わせた、オンライン上での接点作り

ポイント②:客観的なデータ分析に基づいた、コミュニケーション戦略の策定

ポイント③:「人×メッセージ×媒体」のフレームワークを活用した、共感されるコンテンツ制作

採用市場はますます複雑化しているため、これらのポイントを意識しながら、戦略的に採用マーケティングを実践することが重要です。この記事が貴社の採用活動に少しでもお役に立てれば幸いです。

 

 

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