ダイキンを第一志望にする学生を増やすために。 採用ブランディングの鍵は、SNSと「本音」のコンテンツ

ダイキン工業株式会社

  • 事業内容
    空調・冷凍機、化学、油機、特機、電子システム
  • 従業員数
    単独 7,652名 連結 88,698名(2022年3月31日現在)

世界160カ国以上で事業を展開するグローバルNo.1の空調メーカー、ダイキン工業。各省庁や大手メディアから高い評価を受けている一方で、採用市場においては知名度の低さが課題になっていました。第一志望で「ダイキンに入りたい」と思ってもらうためにはどうすればいいのか。考え抜いてたどり着いたのが、各種のコンテンツにSNS投稿を絡める採用マーケティングでした。同社が取り組んできた採用ブランディングとTHINK for HR(※)の積極的な活用について、人事本部採用グループの伊藤淳様にお話を伺いました。

(※)「THINK for HR」とは、SNS(Facebook、Twitter)上のエンゲージメント(「いいね」や「リツイート」「シェア」「コメント」などのアクション)データを定性、定量の両面で収集、分析することができるソーシャルリスニングツールです。企業が使用することで、自社が知りたいトピックに関して、SNS上でどんな投稿や記事がどれほど話題になっているのかをタイムリーに把握できます。また、ツールに加えNo Companyの専門アナリストによって、SNS上から拾い上げた生活者インサイトを生かした採用広報施策の設計、実行までを一貫して支援します。

 

ダイキン_サイト内記事

IMG_6086

採用市場での存在感を高め、ダイキンを第一志望にする学生を増やしたい

THINK for HR導入前の課題について教えてください。

以前から課題として感じていたことは、採用市場においてダイキンを第一志望にする学生が少ないことです。空調業界でグローバル売上高No.1を獲得し、各省庁や大手新聞社からは高い評価を受けるなどの実力があるにもかかわらず、学生からの評価は低いという状況がありました。同業他社とバッティングすることも多く、内定後に第一志望の他社へ流れてしまうこともありました。「ダイキンに入りたい」と最初から思ってもらえるように、当社の採用ブランドを高める必要があったのです。

 

学生にダイキンの良さを知ってもらうためにはどうすればいいのか。社内で話し合いを重ねた結果、合同就職説明会などで広い層に情報発信するだけでなく、私たちが求めるターゲット層へ最適な情報を伝える方が、ブランド力を効率的に高められるという結論に至りました。それが当社における採用マーケティングのスタートです。

採用マーケティングで学生の意識を変えようとするなかで、難しさを感じたことはありますか? 

ブランド力を高める上で最も課題だと感じたのは、学生が業界軸で就職先を探している現状でした。

ダイキンはこの20年間でグローバルに展開し、右肩上がりで売上・シェア率を伸ばしてきましたが、業界軸だけで絞られてしまうと「グローバルに成長している企業」という視点が抜け落ち、家電メーカーとしての企業イメージに留まってしまいます。そういう意味で、学生が業界研究をする前の段階で、ダイキンの魅力を届ける必要があると感じていました。そして、学生とどうコミュニケーションをとるかを考えている中で辿り着いたのが「SNS」でした。

 

SNSは、学生が日常的に接する機会が多く強力なツールだと考えました。それに、オフラインでの採用活動が困難な今、採用マーケティングの取り組みとしてSNSは気軽に始められます。

このような理由から、SNSを使った採用活動は直接ターゲットにアプローチして、潜在的な認知度を高めていく方法としてベストだと考えました。新しいことに積極的に取り組む企業風土もあり、スピード感を持って取り組みをスタートできました。

採用活動でオンラインとオフラインは、どのように使い分けていますか? 

対面の必要がない採用フローは出来るだけデジタル化し学生に負担がかからないように工夫しています。オフラインで会える機会にはオンラインでは伝わりづらい情報を、丁寧に伝えるようにしています。

 

ダイキンには学生とのコミュニケーションを大切にするカルチャーがあります。例えば、学生からエントリーシートを提出してもらうときには、面談員のプロフィールシートを公開しています。また、昔から「面接」とは言わず、対等な立場をあらわす「面談」という言葉を使います。それらの取り組みには、「一方的に企業が判断するのではなく、学生側も選べるような場にしたい」という想いが込めています。ダイキンならではのカルチャーを活かすためにも、オンラインで採用フローを効率化しながら、オフラインのコミュニケーションの質を高めたいと思っています。

IMG_6092

THINK for HRをフル活用しながら、採用マーケティングを「インハウス化」

採用マーケティングで、THINK for HRのサービスをどのように活用していますか?

THINK for HRでの調査からはじまって、コンテンツ制作やメディアタイアップ記事、さらにはSNS動画まで幅広く活用しています。2022年に入ってからは新たなオウンドメディアを立ち上げるために、ダイキンの2025年度までの戦略経営計画「FUSION25」を採用領域でどのようにPRしていくのか、コンセプトからサイト制作まで幅広くサポートしてもらっています。

 

ダイキンの強みである「人」の魅力を伝えるためには、そもそも会社自体に興味を持ってもらわなければいけません。ダイキンはどんな会社なのか、各種のコンテンツでありのままの働き方を伝えることにより、私たちのオープンな姿勢を感じてもらいたいと思っています。THINK for HRを活用しながら、各種のWEBメディアでも訴求することで、採用市場における知名度アップを目指しました。

採用したい学生のターゲティングは、どのように行っていますか?

以前は学内セミナーに参加するなど、大学ごとにターゲティングを進めることもありました。しかし、昨今のオンライン化で大学間の壁がなくなっているので、現在は学校ごとではなく、学生の志向性を重視して施策に取り組むようにしています。学生の志向性やリアルなニーズを把握するうえで、THINK for HRやクチコミサイトが大いに役立ちます。

 

学生のクチコミが拡散されていく現在の状況は、知らぬ間に採用ブランドが崩壊する危険性を秘めている一方で、ダイキンの強みを活かせる場面も大いにあります。私たちは学生を一方的に選考するのではなく、候補者に寄り添うコミュニケーションを大切にしているのでそういった姿勢が学生の間に広まることが、ダイキンの採用ブランディングに繋がるのではないかと考えております。

最近では、採用マーケティングのインハウス化も進めているそうですね。

THINK for HRで採用マーケティングの土台を整備できたので、スピーディーにインハウス化を進められました。当社には「ダイキン情報技術大学」という社内大学があるのですが、そこで学んでいる社員たちにSNS活用を担当してもらっています。彼らはさまざまな知見を持つデータ・サイエンティストなので、それぞれの投稿が学生たちにどんな影響を与え、どのような行動につながるのか、各種の分析も進めています。

IMG_6083 2

内定者や社員の「本音」コンテンツが学生の心を動かす

THINK for HRを利用するようになって、採用活動にどのような変化がありましたか?

私たちのコンテンツに共感してくれる学生が非常に多くなりました。特に社員や内定者の「本音」を掲載したページの反響が大きく、一年ほど前の公開にも関わらず未だに反響があります。各種のアンケートを見てみると、ダイキンを「面白そうな会社」と興味を持ってくれる学生が増えており、採用市場における認知のされ方が変わってきていると感じます。記事コンテンツにおいても、グローバル戦略本部の若手課長を紹介したことで、世界を舞台に活躍する働き方に憧れて入社を決めた学生もいました。

 

採用マーケティングに取り組む前は、SNSやメディアタイアップ、noteなどの媒体において情報発信がほとんどありませんでした。当時に比べると、対外的なメディアでの発信数は飛躍的に増えています。SNS動画の効果もあって、クチコミサイトにおける就活生からの評価も高まっており、さまざまなランキングで入賞できるようになりました。以前はランクインすらできなかったので、私たちの取り組みが着実に学生へ届いていると感じています。

 

また、以前は同じ業界内で他社とバッティングすることが多かったのですが、いろいろな媒体で露出を増やしたことにより、他業界とバッティングするようになりました。家電業界の枠を超えてダイキンの魅力が届くようになってきているので非常に良い傾向だと捉えています。

今後の採用マーケティングで取り組みたいことはどんなことでしょうか? 

THINK for HRでオンラインの取り組みを強化できたので、オフラインの採用活動も高度化しながらダイキンが持つ「人」の魅力をさらに伝えていきたいと考えています。そのなかで特に注力したいのは、企業と求職者の間にある「情報の非対称性」を解消していくことです。社内の雰囲気やコミュニケーションも情報公開して、安心して入社していただけるように取り組んでいきたいと思います。

 

採用マーケティングは、私たち採用担当だけで完結するものではありません。ダイキンのグローバルな事業活動をベースにして、情報をどのようにわかりやすく学生へ伝えていくのか。「事業活動」と「採用」を最適なかたちで結びつけることも、私たちの重要な使命だと考えています。

お問い合わせ