カルチャーマッチだけではもう不十分?自社のファンづくりをベースにした新しい採用マーケティング手法

2024/6/24 Mon. ライター : Rie Omoto
  • 採用マーケティング
  • 採用ブランディング

企業の採用における課題は多岐にわたりますが、その中でも特に強い課題として、企業と候補者のマッチングの難易度が向上していることが挙げられます。せっかく候補者に出会うことができても、自社の魅力が伝わりきらなかったり、期待値が擦り合わなかったりなど、内定前後とわず課題を抱える採用担当者が増えてきています。本記事では、そんな採用上の課題が起こる原因とその解決の糸口となる「スタイルマッチ採用」についてご紹介します。

採用上の課題が起こる原因とその解決策「スタイルマッチ採用」


採用担当者を悩ませている課題

 企業の採用活動において、以下のような問題に直面する担当者は多いのではないでしょうか。

他社との差別化ができない
競合他社との差をつけることが難しくなっており、有力な候補者をアトラクトできない。
内定辞退が多い
内定には至ったものの、条件面やカルチャー面など様々な要因で他社が選ばれてしまう。
入社後の定着率が低い
新入社員が入社前に期待していた環境や人間関係にギャップを感じ、すぐに退職してしまう。 

これらの課題が生じる背景には、時代の変化に伴う複数の要因が絡んでいます。

課題の原因は「仕事」への価値観の多様化

 これらの課題が引き起こされている原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 1)転職前提の就職活動
  • 2)リモートワークの恒常化
  • 3)個としてのキャリアアップ意識の向上

近年の労働人口の減少は顕著であり、終身雇用の終焉により、転職が一般的な選択肢となりました。一社に定着して働くよりも、自身のキャリアアップやスキル獲得が仕事選びにとって重要な要素となった今、企業選びの軸は待遇や条件面だけに限らず、「どんなスキルが得られるのか」「どのような実績が積める場所なのか」が重要視されます。

また、リモートワークが当たり前になり、働く場所や時間を柔軟に選べるようになったため、「より自分に合った働き方をしたい」というニーズも増えてきています。このように仕事の価値観の多様化に対応できるかどうかが、採用活動の成否へ多大な影響をもたらしています。

 

選ばれる企業になるための「カルチャーマッチ採用」

 こうした状況において、台頭してきたのが「カルチャーマッチ採用」です。この手法は、単に給与や労働条件を業務的に伝えるのではなく、企業の制度や風土などを積極的に発信することで、その文化に共感する人材を採用することを目指しています。企業ビジョンやミッションを作成して公開するなど、企業文化に着目した施策が多く行われるようになりました。

カルチャーマッチ採用の施策例

  • ・ビジョン/ミッション/バリューの言語化、発信
  • ・事業パーパスの制定、発信
  • ・企業文化を象徴する取り組みの紹介

しかし、「カルチャーマッチ採用」だけでは解決できない問題も浮かび上がってきています。「カルチャーマッチ採用」では、あくまで企業が行っている施策や企業目線での制度紹介にとどまってしまうため、実態以上に良く見えるようなコミュニケーションを行ってしまう可能性もあります。その結果、「思っていた環境と違う」「いい会社だと思っていたが、入社してみるとイメージと違った」など、入社前の期待値と現実の間にギャップが生まれ、モチベーションの低減や早期離職に至るケースが増えてきています。

新たに注目すべきは「スタイルマッチ採用」

そこで、注目すべきなのが「スタイルマッチ採用」です。「スタイルマッチ採用」とは、企業の従業員が持つ想いや価値観を中心に据えて発信する新たな採用マーケティングの手法です。例えば、企業の風土や制度を従業員視点で紹介したり、経営の意思決定に至るまでの背景をオープンにするなど「等身大」で「リアリティ」のある発信を意識して行います。このアプローチにより、入社前後のギャップが生まれづらくなり、結果的に離職率の低減や、求職者とのマッチング精度の最大化を狙うことができます。

 

スタイルマッチ採用が目指すことは「ファン」を作ること

前述のカルチャーマッチ採用との違いとして、企業主語ではなく、中にいる社員やエピソードを主として語る手法であるとお伝えしました。この視点を活用していくことに加えて、スタイルマッチ採用では「ファンを作る」ことが重要です。企業の採用における「ファンを作る」とは、単なる候補者を集めるだけではなく、「その企業や社員に好意的で応援したい・関わりたいと思っている人」を増やす活動になります。多数の選択肢を持つ候補者が、就職先を求めるタイミングと環境が合致する際に、有力な候補として挙げてもらうことで採用競争力の強化に繋がります。

これらは短期的な採用人数の目標を追うだけでは必要なコミュニケーションを網羅できず、達成が難しくなります。入社志望者を短期的に集めようとすると、就職のタイミングや志望動機などが自社が求める人材と一致しているかどうかが重要ですが、ファンを中長期的に増やそうとすると、一度でも対面で話したことがある候補者の数や、SNSのフォロワー数、エンゲージメント率などの数値を中長期的に追っていくことが必要になります。このような目標を持つことで、企業と候補者の良好な関係づくりを目指すことができます。


      • まとめ


         

      • 後編では「スタイルマッチ採用」のポイントをご紹介

         

        「今すぐ入社するとは限らないけど、ずっと気になる存在で、好意的に思っている」そんな候補者を増やすためには、どのように活動をしていくと良いのでしょうか。後編ではそんな「スタイルマッチ採用」のプロセスや考慮すべきポイントについてお伝えします。

        No Companyは、「スタイルマッチ採用」をはじめとした採用マーケティングの戦略策定から実行まで、課題解決の支援を行っています。サービス内容について詳しく知りたい方は、以下よりお問い合わせください。

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